写真・映画

レジュメ|ノエル・キャロル「メディウム・スペシフィシティ」(2019)

ノエル・キャロル「メディウム・スペシフィシティ」(2019)のレジュメ|Carroll, Noël (2019). Medium Specificity. In Noël Carroll, Laura T. Di Summa & Shawn Loht (eds.), The Palgrave Handbook of the Philosophy of Film and Motion Pictures. Spri…

発表「駄作を愛でる/傑作を呪う」|応用哲学会年次大会あとがき

2021年5月22日㈯の応用哲学会年次大会で発表してきました。発表スライドは以下です。 「駄作を愛でる/傑作を呪う」という題目で、分析美学の「批評の哲学」にカテゴライズされるだろう内容になっています。"だろう"というのは、実際にカテゴライズされるか…

描写の哲学において写真は個別の議論を必要とするのか?

「描写の哲学」研究ノートです。 「描写の哲学ビギナーズガイド」で言えば、「1.描写の本性:描写とはなにか? 画像とはなにか?」と「6.写真の特性:写真のなにがそんなに特別なのか?」にまたがる話題。 写真(photographs)は画像の一種だが、とりわけ特…

「写真を見ること、写真を通して見ること」を通して見ること|修士論文あとがき

はじめに UTokyo Repositoryにて修士論文を公開しました。 リンクは以下です。 http://hdl.handle.net/2261/00079131 「写真を見ること、写真を通して見ること――ケンダル・ウォルトンによる「透明性テーゼ」の理論的射程をめぐって」と題し、写真論を…

レジュメ|グレゴリー・カリー「視覚的痕跡:ドキュメンタリーと写真の内容」(1999)

Currie, Gregory (1999). Visible Traces: Documentary and the Contents of Photographs. Journal of Aesthetics and Art Criticism 57 (3)-285-297. 分析写真論としてはWalton 1984と並び、写真の「情動的能力(affective power)」「現象学的特権(phenom…

レジュメ|アーロン・スマッツ「『ピックマンのモデル』:ホラーと写真の客観的意味」(2010)

Smuts, Aaron (2010). 'Pickman's Model': Horror and the Objective Purport of Photographs. Revue Internationale de Philosophie 4:487-509. 分析美学の遊撃兵ことアーロン・スマッツ(Aaron Smuts)による写真×ホラー論。 昨年の若手フォーラムで発表し…

レジュメ|エマニュエル・フィーバーン「画像で嘘をつく」(2019)

Viebahn, Emanuel (2019). Lying with Pictures. British Journal of Aesthetics 59 (3):243-257. 発話やテクストだけでなく、画像を使って嘘をつけるのだとしたら、「嘘(lying)」の定義を考え直すべきだよ、という論文です。 レジュメ 【ケース①マーサが…

レジュメ|フレッド・ドレツキ「コメント要約:写真を通して見ること」(1984)

Dretske, Fred (1984). Abstract of Comments: Seeing through Pictures. Noûs 18 (1):73 - 74. 情報理論で有名なフレッド・ドレツキ(Fred Dretske)によるWalton 1984への短文コメントをご紹介。*1 コメント先になっているウォルトン論文については、以下…

レジュメ|キャサリン・エイベル「画像の含み」(2005)

Abell, Catharine (2005). Pictorial Implicature. Journal of Aesthetics and Art Criticism 63 (1):55–66. 今回はキャサリン・エイベル(Catharine Abell)の描写論。画像、写真、視覚芸術に強い美学者です。*1 「画像表象とリアリズム」と言いつつ写真論…

レジュメ|ジョナサン・コーエン&アーロン・メスキン「写真の認識論的価値について」

Cohen, Jonathan & Meskin, Aaron (2004). On the epistemic value of photographs. Journal of Aesthetics and Art Criticism 62 (2):197–210. 写真の認識論的価値(epistemic value)*1を巡る、2004年の重要論文。 K.Walton、C.Abell、R.Hopkins、S.Walden…

レジュメ|ベンス・ナナイ「マクロとミクロ:アンドレアス・グルスキーの美学」

アントワープ大学の売れっ子ブンセキ哲学者といえば、ベンス・ナナイ(Bence Nanay)。ホストっぽい見た目とは裏腹に、知覚・心の哲学から、美学、存在論、倫理学まで、あちこちの分野で活躍する秀才です。 Nanay, Bence (2012). The Macro and the Micro. J…

発表「不気味な写真の美学」:若手哲学研究者フォーラム後記

先日、はじめての学会発表をしてきました。 国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催された「哲学若手研究者フォーラム」の2日目(7月14日)。朝11:00からの発表です。 題目は「不気味な写真の美学」ということで、写真が喚起する「不気味さ(uncan…

レジュメ|スコット・ウォールデン「透明性と二要因による写真鑑賞」(2016)

Walden, Scott (2016). Transparency and Two-Factor Photographic Appreciation. British Journal of Aesthetics 56 (1):33-51. 久々の「画像表象とリアリズム」。春休みの間は写真と関係ない論文ばかり読んでいたのですが、ぼちぼち修論執筆マシーンにシフ…

Jiri Benovsky "Photographic Representation and Depiction of Temporal Extension"(2012)

「画像表象とリアリズム」第4回。前回、番外編で扱ったものに続き、イジー・ベノヴスキー(Jiri Benovsky)の論文です。本論文(Benovsky 2012)はPhilPaperの「Photography」カテゴリで、ウォルトン「透明な画像」(1984)に次ぐダウンロード数を記録している。…

「写真」の存在論的身分を巡って:Jiri Benovsky "What photographs are (and what they are not)"(2011)

普段やっている「画像表象とリアリズム」とはやや毛色の違う論文をご紹介。 名前の読みはイジー・ベノヴスキーですかね。2011年の論文、"What photographs are (and what they are not)"です。 今回読んできたのは、写真はいかなる存在論的カテゴリーに属す…

Barbara E. Savedoff "Escaping Reality: Digital Imagery and the Resources of Photography"(1997)

デジタル写真に関する議論で、よく引かれているサヴドフ論文(1997)。 「デジタル画像編集技術の普及によって、写真一般の信憑性が下がっちゃうぞ!」というのが大筋。 とりわけ、芸術写真における写真表現にフォーカスしている。アンリ・カルティエ=ブレッ…

レジュメ|ケンダル・ウォルトン「透明な画像」(1984)

写真論の研究ノート、第二弾。 今回は初心に返って、ケンダル・ウォルトンの「透明な画像」(1984)を読み直しました。 Walton, Kendall L. (1984). Transparent Pictures: On the Nature of Photographic Realism. Critical Inquiry 11 (2):246-277. 分析美学…

Geert Gooskens "The Digital Challenge - Photographic Realism Revisited"(2011)

「画像表象とリアリズム」Episode 1です。 指導教官とのゼミで描写(depiction)関連の論文を読むようになったので、そのまとめノートをブログに綴っておこうかと。 主に、デジタル時代の画像文化に関するものが中心です。 今日、紹介するのはGeert Gooskensに…