2023-01-01から1年間の記事一覧

後期シブリーの美学

フランク・シブリー[Frank Sibley]の名前と結びつけられた仕事として、真っ先に思いつくのは「Aesthetic Concepts」(1959)と、その実質的な続編にあたる「Aesthetic and Nonaesthetic」(1965)だろう。前者は、美学者としてのキャリアの最初期に書かれた論文…

美的なものと芸術的なもの

1 美学は芸術の哲学なのか? 2 芸術抜きの美学? 3 美学抜きの芸術? 4 ビアズリー、ディッキー、シブリー 5 美的なものと芸術的なもの、その後 参考文献 1 美学は芸術の哲学なのか? 博士論文(80,000 words)をあらかた仕上げて予備審査に出したので、ゴキ…

どの活動がなにゆえ「芸術」なのか?

芸術哲学の(根幹とまでは言わずとも、)代表的なトピックのひとつは芸術の定義である。芸術とはなにか。どこのどれがなにゆえ芸術作品であり、その他のアイテムはなぜ芸術作品ではないのか。 分析美学における芸術の定義史は教科書[1][2]やStanford Encyclo…

美しいものは喜びに適合している?:美的価値についての適合態度分析

美的価値とはなんぞやをめぐる、最新の研究です。*1 「美しい」「崇高である」「パワフルである」といった美的価値については、しばしばそれによって引き起こされる反応の観点から説明されてきた。すなわち、美しかったり優美だったりして美的に良いものとは…

美的なこだわりを持つことの利点?

美的にオープンマインドであること 芸術鑑賞を含む美的実践においては、オープンマインドであることが大事だと言われがちだ。偏見を持ってより好みするのではなく、どんなものでも受け入れて楽しむだけの余裕と寛容さを持つこと。それが、美的生活を豊かに営…

論文出ました+賞とりました🏆|芸術カテゴリーに関する制度説

英語論文を書きました。イギリス美学会発行のオープンアクセスジャーナル『Debates in Aesthetics』18(1)に載っています。 アイデアはおおむね2021年5月に応用哲学会で発表した「駄作を愛でる/傑作を呪う」がベースですが、逆張り鑑賞の話はすっかり削り、…