描写の哲学
リミナル・スペース[Liminal Space(s)]は2019年ごろに4chanからTwitterやReddit経由で広まった、インターネット・ミームである。Fandomの「Aesthetics Wiki」によれば、 Liminal Spaceの美学は、広くてなにもない、薄気味悪く不穏な雰囲気[eerie and unsettl…
描写の哲学はかなり学際的な分野だ。異なるバックグラウンドを持つ研究者たちが、画像という同一の主題を、さまざまなアプローチで扱っている。 2021年6月26日㈯に、松永さん(@zmzizm)主催の「描写の哲学研究会」があり、今年度は「描写の哲学と認知科学」が…
Enrico Terrone「正しさの基準と描写の存在論」のレジュメ|Terrone, Enrico (forthcoming). The Standard of Correctness and the Ontology of Depiction. American Philosophical Quarterly.
描写=画像表象の振る舞いを、言語(語や文)のそれに見立てる見解および、これに対する異論のサーベイです。具体的には、『芸術の言語』(初版1968, 改訂版1976)におけるNelson Goodmanの枠組みをめぐって、70年代に展開された論争の一部をまとめています。…
Steenhagen, Maarten (2020). Sense and Reference of Pictures. British Journal of Aesthetics:1-5. つい先日BJAがオープンアクセスで公開した「描写の哲学」論文。 著者はスウェーデン、ウプサラ大学所属の哲学研究者みたいです。メガネがおしゃれ。短い…
「描写の哲学」研究ノートです。 「描写の哲学ビギナーズガイド」で言えば、「1.描写の本性:描写とはなにか? 画像とはなにか?」と「6.写真の特性:写真のなにがそんなに特別なのか?」にまたがる話題。 写真(photographs)は画像の一種だが、とりわけ特…
描写の哲学関連のサーベイです。 ベンス・ナナイ(Bence Nanay)の論文を立て続けに4本ほど読んだ。 ナナイはリチャード・ウォルハイム(Richard Wollheim)が画像経験の二重性twofoldnessと呼んだ性格についていろいろと書いている。ナナイ自身も、この概念…
昨年の夏に碑文谷公園で見かけた猫 Walton, Kendall L. (2008).Pictures and Hobby Horses: Make-Believe beyond Childhood. In Kendall Walton, Marvelous Images: On Values and the Arts. Oxford University Press.*1 はじめに|ウォルトンによる描写の哲…
絵、写真、映画、アニメ、広告、ポスター、地図、ビデオゲーム、デザイン……。画像[picture]ないし画像的[pictorial]なものは、生活のいたるところにある。 本記事は、近年ますます盛り上がりを見せている「描写の哲学[philosophy of depiction]」についての…
Viebahn, Emanuel (2019). Lying with Pictures. British Journal of Aesthetics 59 (3):243-257. 発話やテクストだけでなく、画像を使って嘘をつけるのだとしたら、「嘘(lying)」の定義を考え直すべきだよ、という論文です。 レジュメ 【ケース①マーサが…
Abell, Catharine (2005). Pictorial Implicature. Journal of Aesthetics and Art Criticism 63 (1):55–66. 今回はキャサリン・エイベル(Catharine Abell)の描写論。画像、写真、視覚芸術に強い美学者です。*1 「画像表象とリアリズム」と言いつつ写真論…