2019-01-01から1年間の記事一覧
絵、写真、映画、アニメ、広告、ポスター、地図、ビデオゲーム、デザイン……。画像[picture]ないし画像的[pictorial]なものは、生活のいたるところにある。 本記事は、近年ますます盛り上がりを見せている「描写の哲学[philosophy of depiction]」についての…
Viebahn, Emanuel (2019). Lying with Pictures. British Journal of Aesthetics 59 (3):243-257. 発話やテクストだけでなく、画像を使って嘘をつけるのだとしたら、「嘘(lying)」の定義を考え直すべきだよ、という論文です。 レジュメ 【ケース①マーサが…
Dretske, Fred (1984). Abstract of Comments: Seeing through Pictures. Noûs 18 (1):73 - 74. 情報理論で有名なフレッド・ドレツキ(Fred Dretske)によるWalton 1984への短文コメントをご紹介。*1 コメント先になっているウォルトン論文については、以下…
Abell, Catharine (2005). Pictorial Implicature. Journal of Aesthetics and Art Criticism 63 (1):55–66. 今回はキャサリン・エイベル(Catharine Abell)の描写論。画像、写真、視覚芸術に強い美学者です。*1 「画像表象とリアリズム」と言いつつ写真論…
Cohen, Jonathan & Meskin, Aaron (2004). On the epistemic value of photographs. Journal of Aesthetics and Art Criticism 62 (2):197–210. 写真の認識論的価値(epistemic value)*1を巡る、2004年の重要論文。 K.Walton、C.Abell、R.Hopkins、S.Walden…
0.イントロ 「Red Velvet(レッド・ベルベット)」は、SMエンターテインメントより2014年にデビューしたガールズグループである。2019年現在のK-POPシーンにおいては、TWICE、BLACKPINKと並び、すでに確たる地位を獲得したトップ・グループであると言えよう…
アントワープ大学の売れっ子ブンセキ哲学者といえば、ベンス・ナナイ(Bence Nanay)。ホストっぽい見た目とは裏腹に、知覚・心の哲学から、美学、存在論、倫理学まで、あちこちの分野で活躍する秀才です。 Nanay, Bence (2012). The Macro and the Micro. J…
先日、はじめての学会発表をしてきました。 国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催された「哲学若手研究者フォーラム」の2日目(7月14日)。朝11:00からの発表です。 題目は「不気味な写真の美学」ということで、写真が喚起する「不気味さ(uncan…
2019年上半期にリリースされたK-POP楽曲のうち、よく聞いたものをレビューしてみました。ランキング形式でも評価形式でもないので、いまいちマイベスト感はない。また、網羅的に聞いているわけではないので、「上半期まとめ」とも言えない、微妙な温度感の記…
我々は、ときに美しく盛り付けられたフランス料理を見て「芸術的だ」と言う。 また、華麗な手さばきでピザ生地を広げたり、魚をさばくシェフの姿に、創意に満ちた芸術家の姿を重ね合わせる。 すぐれた料理の味や香りがもたらす感動や快楽は、映画や音楽のそ…
Walden, Scott (2016). Transparency and Two-Factor Photographic Appreciation. British Journal of Aesthetics 56 (1):33-51. 久々の「画像表象とリアリズム」。春休みの間は写真と関係ない論文ばかり読んでいたのですが、ぼちぼち修論執筆マシーンにシフ…
哲学系のサーベイ論文に定評のある学術誌「Philosophy Compass」から、「美学&芸術哲学(Aesthetics & Philosophy of Art)」セクション収録の論文をまとめています。随時更新。 分析美学関連の勉強や調べ物にお役立てください。 (日本語で読める解説記事…
「マジックリアリズム(Magic realism)」あるいは「魔術的リアリズム」と呼ばれる創作手法がある。マジックリアリズムとは、ラテンアメリカ文学を中心に、芸術批評で用いられる概念である。本記事では、この概念を整理、改良した上で、試験的に運用する。や…
「画像表象とリアリズム」第4回。前回、番外編で扱ったものに続き、イジー・ベノヴスキー(Jiri Benovsky)の論文です。本論文(Benovsky 2012)はPhilPaperの「Photography」カテゴリで、ウォルトン「透明な画像」(1984)に次ぐダウンロード数を記録している。…
「分析美学におまかせ!」シリーズ(いま考えた)、今回は「即興(improvisation)」です。ノープランで、とっさに何かをやる技法。とりわけ音楽において用いられることの多い「即興」だが、古典的な音楽哲学ではいまいち扱いにくい、というのが今回のポイント…
普段やっている「画像表象とリアリズム」とはやや毛色の違う論文をご紹介。 名前の読みはイジー・ベノヴスキーですかね。2011年の論文、"What photographs are (and what they are not)"です。 今回読んできたのは、写真はいかなる存在論的カテゴリーに属す…
デジタル写真に関する議論で、よく引かれているサヴドフ論文(1997)。 「デジタル画像編集技術の普及によって、写真一般の信憑性が下がっちゃうぞ!」というのが大筋。 とりわけ、芸術写真における写真表現にフォーカスしている。アンリ・カルティエ=ブレッ…
あけましておめでとうございます。 5年目の「面白かった映画選」です。 2018年は115本観ました。 10月以降は研究が楽しくて、3ヶ月で10本しか観ていないという舐めプをかましています。2018年は新作もあまりチェックしていないので、ミニマルなリストになり…