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平成最後の「面白かった映画選」2018年版

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あけましておめでとうございます。

5年目の「面白かった映画選」です。

2018年は115本観ました。

10月以降は研究が楽しくて、3ヶ月で10本しか観ていないという舐めプをかましています。2018年は新作もあまりチェックしていないので、ミニマルなリストになります。

 

例年通りランク順ではなく、観た順です。

いきます。

 

 

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 『スモーク』(1995)★4.7

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チルい映画オブ・ザ・イヤー。

ポール・オースター原作。ゆるーい人間模様。

語りのテンション感がすごく小説的で、文学好きにはたまらない。

カメラが重要なモチーフであるだけでなく、質感もどこかフィルムライク。35mmの粒子が浮いた感じ。タバコが吸いたくなる。 

  

 

『ウェディング・バンケット』(1993)★4.8

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スラップスティック・オブ・ザ・イヤー

2018年出会ってよかった監督の一人、アン・リー『恋人たちの食卓』(1994)もいい感じ。

小津リスペクトを隠そうともしないストーリーテリングに、乾杯。ドタバタして、笑えて、最後はちょっとほっこり。食後の満足度が高い。

それと、講義の課題で扱ったので、クリップをめちゃくちゃ観た。さすがにその場面だけは飽きた。 

 

 

『お早う』(1959)★4.6

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ぼのぼのオブ・ザ・イヤー。

小津リスペクトなアン・リーの後に小津なわけなんですが、やっぱOZUはイケてる。

丹精なコンポジションと、小気味よいテンポ感。彼の作品はだいたい好きですが、『お早う』が一番好きになりました。弟の子がクール。

なんてことない日常が一番フォトジェニックですね。

 

 

『ファニーとアレクサンデル』(1982)★5.0

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壮大オブ・ザ・イヤー。

5時間。ドカーン!

アンダーグラウンド旅芸人の記録のような歴史的クロニクルと比べると、本作は長大ながらも個人的、プライベートな叙事詩。小さな世界の物語。

タルコフスキーアンゲロプロスといった、70年代の刺客に対するベルイマンの応答。 『仮面/ペルソナ』(1967)、『叫びとささやき』(1972)といったキレッキレの挑戦作に比べると、話は全然ややこしくなくて、かなり観やすい。ダメ男とメンヘラがわんさか出てくる、ファンタジックな昼ドラ。

僕はDVDでちまちま観ましたが、2018年は劇場でもやっていましたね。まぁ長いので、自宅でちまちま観るほうがおすすめです。

 

 

『シルバー・グローブ/銀の惑星』(1987)★4.6

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頭おかCオブ・ザ・イヤー。

悪夢のような創世記。異星人、カルト宗教、近親相姦、鳥人族……。それから、わけのわからない形而上学的マシンガントークを散りばめた、空前絶後の奇作。狂気の欲張りセット。

TSUTAYAの発掘良品は、たまにマジでいいものを発掘してくれるわけだが、2018年度の大収穫がこちら。

ジャンプカットの連続。挙句の果てに、フィルム紛失で監督がアフレコ解説。この熱量は、観たものにしかわからない……。

 

 

万引き家族』(2018)★4.6

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人間劇オブ・ザ・イヤー。

劇場公開の新作から、唯一のランクイン。パルム・ドールの名に恥じぬ、パワフルな作品。

ジャパニーズ・ホームドラマの極致。邦画史の一ページに刻まれる作品を、リアルタイムで観れて光栄だ。

「普通である」ことの暴力を暴露する、「普通じゃない」家族。「嘘の上にも有益な宗教は築ける」と言ったのはカート・ヴォネガット

松岡茉優がえらい可愛い。

 

 

男たちの挽歌』(1985)★4.7、『男たちの挽歌Ⅱ』(1987)★4.9

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アホ映画オブ・ザ・イヤー。

香港アクションの大本命。出てくるヤツが大抵アホです。

絶叫、爆発、二丁拳銃、と怒涛のテンションでお送りするギャング映画。なにもかもが大げさでいちいち笑ってしまう。

無印ですでにぶっ飛ぶほど笑えるのに、Ⅱはあごが外れるほど面白いです。

それから、80年代のダサかっこよさいたるところにあるのも加点ポイント。コテコテのBGMと、テクノカット、オーバーサイズのジャケット。最高かよ。

 

 

ホーリー・モーターズ』(2012)★5.0

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難解オブ・ザ・イヤー。

『銀の惑星』に続く、頭おかC枠。あちらが動物的な狂気だとすれば、こちらは人間的な狂気。抑制された、静かな前衛。

カメラが不可視になった世界。演じることと、生きることの脱構築

表象文化論の学徒としては、このポストモダン的世界観に垂涎を禁じ得ない。どれか一つ!と言うなら、年間ベストはこれかなぁ。

ジャムセッションでうまいフレーズを弾いた人に対して上がる歓声、あれがひっきりなしに上がってしまうような作品です。

 

 

ラルジャン』(1983)★4.9

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スタイリッシュ・オブ・ザ・イヤー。

ようやく観れた、ロベール・ブレッソン。 2018年の大発見は、駒場の10号館で映画観れることですね。

アキ・カウリスマキが大好きなので、ブレッソンが嫌いなわけがない。

多用される手や小物のカット。即物的決定論的な世界観には、個人的にすごくシンパシーを感じてしまう。悲惨なのに、居心地の良い世界。

『やさしい女』(1969)、『白夜』(1971)など、まだ観れていない作品がいくつかあるが、全部観てしまうのがもったいなく思えるほどの監督。

 

 

マリア・ブラウンの結婚』(1979)★4.7

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壮絶な人生オブ・ザ・イヤー。

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーも、2018年にたくさん観た監督の一人。

一見するとシリアスな人間ドラマだが、細部に狂気じみた演出を織り交ぜているせいで、コミカルな印象すら残る奇妙な作品。ファスビンダーもまた、鬼才の名にふさわしい監督の一人だろう。

ドイツ映画はこのマットな質感が好き。コントラストが低い感じで、目に優しい。画面の柔らかさと、内容の重さが、これまたよい塩梅。

 

 

 

2019年もたくさん観るぞ

例年通り、笑いあり恐怖ありの幅広いランキングになった印象。

選外だけど、アピチャッポン・ウィーラセタクン作品(『光りの墓』、『世紀の光』)も思い出に残った映画体験の一つ。

今年は修論もありますが、時間みつけてたくさん観れるといいですね。劇場にも、なるべく行きましょう。

 

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いい年になりますように!

 

 

 

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