あけましておめでとうございます。今年も頑張って書いていきましょうー。
面白かった映画選! 始まるよ!
第三回となる2016年度は、一人暮らしを始めたこともあり、色んな意味で生活環境が変わった一年でした。
マジで映画を観る暇もないような時期もありましたが、12月のラストスパートで18本観て、今年は合計で104本という結果です。年間100本も観てないやつの映画レビューなんて興味ないですもんね、頑張りました。
では、行きます。
観た順。ランキング形式ではない!
数字はFilmarksにてつけた点数。
[旧作]
- ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン! (2007) ☆5.0
- 黒猫・白猫 (1998) ☆5.0
- ミステリー・トレイン (1989) ☆5.0 /// ナイト・オン・ザ・プラネット (1991) ☆5.0
- アモーレス・ペロス (1999) ☆4.8
- 田園に死す (1974) ☆4.7
- 地獄でなぜ悪い (2013) ☆4.8
- あやつり糸の世界 (1973) ☆5.0
- インヒアレント・ヴァイス (2014) ☆4.6
- ヤンヤン 夏の思い出 (2000) ☆4.8
- セント・オブ・ウーマン / 夢の香り (1992) ☆5.0
- フォロウィング (1998) ☆5.0
- 復讐者に憐れみを (2002) ☆4.8
[新作]
オデッセイ ☆3.9
ヘイトフル・エイト ☆4.5
リリーのすべて ☆3.0
ルーム ☆4.0
デッドプール ☆4.1
レヴェナント:蘇りし者 ☆3.2
シン・ゴジラ ☆4.3
リップヴァンウィンクルの花嫁 ☆4.3
この世界の片隅に ☆4.1
シング・ストリート 未来へのうた ☆4.2
[旧作]
とにかく楽しい映画が観たい!あなたに
ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン! (2007)
たぶん今年観たなかで一番頭の悪い映画。
キャストも監督もほぼ同じ作品として『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)がありますが、こちらはどうも好きではなく……。本作はその完全上位互換です。面白さは保証します。
コメディとしての楽しさは言うまでもなく、サスペンスあり、アクションありの、最高のエンターテイメント作品。「これ、つまらないって言う人いないだろ……」ってぐらい面白さに圧倒されたのは『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1997)以来です。映画初心者から見逃しちゃってる上級者まで、自信を持ってオススメできる一作。
HAPPY ENDなドタバタ喜劇が好きなあなたに
黒猫・白猫 (1998)
『アンダーグラウンド』(1995)を生んだユーゴスラビアの鬼才エミール・クストリッツァ監督によるスラップスティック・コメディ。
ガヤガヤしている映画が好きです。色んな食材を突っ込んだ闇鍋みたいに、次の展開が読めない、いい意味で狂ってる映画が好き。本作は『アンダーグラウンド』からマジック・リアリズム的要素を引き継ぎ、なおかつポップに仕上げた傑作です。
人生はクソだけど、素晴らしい。そう思わせてくれる素敵な作品。[HAPPY END]のテロップにシビレます。Filmarksオフ会で友人たちにも観せましたが、軒並み高評価でした。『アンダーグラウンド』より圧倒的に観やすい作品なので、是非。
スタイリッシュでクールな映像にシビレたいあなたに
ミステリー・トレイン (1989)
ナイト・オン・ザ・プラネット (1991)
ジム・ジャームッシュ作品ということでまとめて紹介します。一人の監督に☆5.0を複数付けたのは、たぶんジム・ジャームッシュ監督だけ。
どちらもオムニバス形式で描かれる都会の人間模様。普通の人たちの普通の暮らしが、笑いあり涙ありで描かれます。生きるってのは、それだけでドラマなんだなと思わせてくれる2作です。「エモい」という言葉が本当によく似合う。
インディー感あふれる映画が好きな人にはまちがいない監督です。『パルプ・フィクション』好きも気にいるはず。
やっぱ犬派だろ!!なあなたに
アモーレス・ペロス (1999)
『バードマン〜』(2014)、『レヴェナント〜』(2015)で最近ブイブイ言わせているメキシコの監督、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの初監督作品です。とりあえず監督の名前を覚えるのは無理だ、諦めた。
タイトルはスペイン語で「犬のような愛」。
同時に進行する3つの話。悲劇的な場面も多いですが、切なさとともに温かみも感じられる良い映画です。あとワンちゃんがいっぱいでてきます。最高。
狂気のなんたるかを目の当たりにしたいあなたに
田園に死す (1974)
日本を代表するサイコ野郎名詩人・寺山修司が産み落とした「観る麻薬」。
世の中には「何の説明なく、受け入れるしか無い」物事がたくさんありますが、その一つが『田園に死す』です。正気の日常を解体して、ぐちゃぐちゃに切り貼りしたようなグロテスクなオブジェ。どこまでも神経を逆撫でする展開は、もう拍手に値するレベルです。観ちゃいけないものを観ている感、触られてはならない部分を触られている感が尋常じゃない。
アングラつながりでホドロフスキー好きは間違いないし、サブカル男女はもれなく観ておくべきド名作です。日本が世界に誇るべきジャパニーズ・マッドネス。
地獄でなぜ悪い (2013)
園子温作品では一番気に入りました、『地獄でなぜ悪い』。後半、明らかに『キル・ビル』を意識した怒涛の展開は必見です。
『逃げるは恥だが役に立つ』の大ヒットは言うまでもなく、今年は星野源が幅を利かせていましたね! 歌って踊れて演技までできる男は美味しいなぁオイ!
ガッキーといちゃこらする3年前から、二階堂ふみと〇〇したり〇〇したりしてます。美味しいなぁオイ! なんか腹たってきた。
幻のSF映画が気になるあなたに
あやつり糸の世界 (1973)
幻のSF映画、初の劇場公開、前半後半あわせて212分という、なにかといわくつきだった『あやつり糸の世界』。渋谷はユーロスペースで観てきました。
流石に宣伝過剰な面は否めませんが、それを補って余りある名作。これを掘り出してきたのはGJと言わざるをえない。運がよかったら今頃『2001年宇宙の旅』『惑星ソラリス』と並んでてもおかしくないレベルです。
ただ、カメラワークを始めとする演出がところどころダサいので、観る人を選びます。ぼくなんかはあのダサさが逆にSF的で大好きだけど……。
インヒアレント・ヴァイス (2014)
今年はRadiohead待望の新作『A Moon Shaped Pool』が発表されましたね。(名盤です)
そんなRadioheadのMVを担当し、メンバー(とくにジョニー)ともイチャイチャしているポール・トーマス・アンダーソン監督。トマス・ピンチョンの『LAヴァイス』を原作とした探偵小説”風”の映画。さぞ難解かと思いきや、そうでもないです。
それこそRadioheadの『Kid A』や『Amnesiac』あたりの世界観に通ずるものがあり、実験的な中にちゃんとしたポップが宿っています。夏の夜にビールでも飲みながらヘラヘラ観てたい映画。
ささやかな日常に感動したいあなたに
ヤンヤン 夏の思い出 (2000)
『恐怖分子』(1986)のエドワード・ヤン監督の遺作。今年はK’s cinemaの台湾巨匠傑作選2016にて侯孝賢らと共に取り上げられ、ほんのちょっと話題になりました。
こちらも普通の家族の暮らしを淡々と描いた作品。『恐怖分子』と通ずるのは、全体に漂う「諦観」の空気感でしょうか。悲しい日には、もう悲しむしかない、って感じです。長い映画ですが、『恐怖分子』と同じくエドワード・ヤンの「間」が好きな人にはたまらない作品です。作中の3人のなかでは、父親の話が一番好きでした。
来年は、幻の作品『牯嶺街少年殺人事件』(1991)がデジタル・リマスターされ劇場公開となります。配給会社が倒産したとかなんとかで長らくVHSでしか出回ってなく、劇場公開は25年ぶりだそうです。3時間56分というギャグレベルの長丁場ですが、来年楽しみなイベントの一つです。
頑固おやじのアル・パチーノと旅行に行きたいあなたに
セント・オブ・ウーマン / 夢の香り (1992)
今年最高のヒューマンドラマです。
アル・パチーノ演じる盲目の退役軍人と、アルバイトにやってきた苦学生がニューヨークであれこれする話。とにかくアル・パチーノ、名演です。目が見えないのにめちゃくちゃ高圧的な元軍人役がハマりすぎてて……それだけで観る価値アリの名作です。
ボーイ・ミーツ・ガールならぬボーイ・ミーツ・オッサンの映画にハズレはない、ってのがぼくの持論ですが、これは間違いないです。『グラン・トリノ』しかり『最強のふたり』しかり。ヒューマンドラマで泣くことはほぼないですが、このラストにはウルっときました。もっとたくさんの人に観て欲しい傑作です。
見知らぬ他人を尾行して、なんかヤバいことに巻き込まれたいあなたに
フォロウィング (1998)
みんなだいすきクリストファー・ノーランの初監督作品、『フォロウィング』です。
『メメント』(2000)に比べると完成度で劣る、という指摘はよく聞きますが、いかんせん『メメント』が傑作すぎるので、ちょっと劣るぐらいで『フォロウィング』も傑作であることに変わりない。時系列をぐちゃぐちゃにして、分かったつもりの鑑賞者を二重三重と騙していくストーリーに惹き込まれます。話練るのにどれだけ時間かけてるんだろう。この脚本書いた人、絶対に頭いいでしょ、ってびっくりする。
来年は新作「ダンケルク」が公開されるとのことで、相変わらず頑張ってます、クリストファー・ノーラン。個人的にはこの『フォロウィング』や『メメント』みたいなミステリー映画がまた観たいのですが、なかなか作ってくれませんね。
娘の仇をめちゃくちゃにぶっ殺してやりたいあなたに
復讐者に憐れみを (2002)
最後に取り上げるのが心苦しいほど過激な映画。『オールド・ボーイ』(2003)のトラウマ再来です、パク・チャヌク監督。
監督お得意の復讐劇ということでそもそも不気味な映画ですが、聾唖の主人公という異常な設定が、さらに不気味さを加速させます。心臓が弱い方はまずダメでしょう。観る側を精神的に不快にさせる演出がこれでもかと続きます。
同じアジア人なので、グロさもえげつなさもリアルに伝わってくる、ってのは絶対あると思います。韓国映画恐るべし。もう韓国語聞くだけで怖いレベルです。
あと、主人公の恋人役ペ・ドゥナが可愛いです。ビビります。可愛さの暴力かよ。
[新作]
今年も面白い映画がたくさん公開されましたね。『ズートピア』は観てないです。
去年、『セッション』から『マッド・マックス〜』、『スター・ウォーズ〜』まで、洋画が快進撃を続けていた印象がありますが、今年は逆に邦画がアツかったと思います。『君の名は』は観てません。
ぱっと思いつくだけでも『シン・ゴジラ』『この世界の片隅に』『聲の形』あたりはツイッターを中心にだいぶ盛り上がっていましたね。『君の名は』は観ていない。
話題作を雑にまとめてみました。『ズートピア』と『君の名は』はありません。
オデッセイ:マット・デイモンが火星で一人ダッシュ島をする話。そんなに面白くない。
ヘイトフル・エイト:タランティーノ監督待望の新作。期待を裏切らないイカしたサスペンス映画です。ファンは必見。
リリーのすべて:劣化版『わたしはロランス』。苦悩のレベルが低い。そんなに面白くない。
ルーム:監禁されてるのに和気あいあいとしてる親子の話。評価が難しい。
デッドプール:去年で言うところの『キングスマン』枠。よくまとまった良質なアクション。
レヴェナント:蘇りし者:大自然をバックに蘇ったディカプリオが這う&這う&這う。別に面白くない。
シン・ゴジラ:個人的に今年の劇場公開邦画ではベスト。人に話したくなる&何度も観たくなる、というジェットコースター的楽しさはまさに去年の『マッド・マックス』枠。
リップヴァンウィンクルの花嫁:ユーロスペースあたりが吐血する勢いで宣伝していた「ミニシアター系」邦画。岩井俊二に思い入れはありませんが、よくできた話です。オススメ。
この世界の片隅に:2016年アニメ映画のダークホース。ほぼ口コミだけでここまで人気になったのは、やはり映画のポテンシャルか。よくまとまった良作ですが、個人的には原作のほうが好きです。
シング・ストリート 未来へのうた:高校生がバンドやるだけの話。ストーリーは地味ですが、作中歌がどれも最高なので、音楽映画としては白眉の出来です。
いかがでしたか?
取り上げてはいないけど、今年思い出に残ってる監督の一人に、フィンランドのアキ・カウリスマキがいます。全体的に尺が短くて、個人的な評価としては☆4.0前後のちょっとした話ばっかり作ってくれる可愛い監督です。作家性の極み、みたいな作品ばかりで、だれがどう観てもアキ・カウリスマキでしかない、みたいな映像はたまに見たくなります。寒い季節はとくに、ね。
イベント単位で記憶に残っているのは、新文芸坐の園子温・オールナイト(3月)とシュヴァンクマイエル・オールナイト(5月)、あとK’s cinemaのゴダール・リバイバル上映(6月/7月)ですね。
2016年、残念ながらグザヴィエ・ドラン監督の新作『たかが世界の終り』は間に合わなかったようで、2017年に公開となりましたね。アレハンドロ・ホドロフスキー監督の新作『エンドレス・ポエトリー』も楽しみです。
スター・ウォーズの新作もまだ観てないので、近いうちにチェックしておきたいな。またしばらくバタバタしそうなので、早いところ腰を落ち着かせて映画を観れるようにするのが当面の目標です。
いい年になりますように。