2019年上半期のK-POPをレビュー【女性グループ】

2019年上半期にリリースされたK-POP楽曲のうち、よく聞いたものをレビューしてみました。ランキング形式でも評価形式でもないので、いまいちマイベスト感はない。また、網羅的に聞いているわけではないので、「上半期まとめ」とも言えない、微妙な温度感の記事となりました。タイトル通り、ヨジャドル(ガールズ・グループ)のみです。

今年もなかなか良いリリースが多く、楽しくK-POPしてます。ここ数年のK-POPは、もはや「韓流ブーム」などという一過性の流行りではなく、本当に面白いことになっているので、皆さんも是非チェックくださいね。

  • 1月
    • Red Velvet「Sappy」 
    • Apink「%% (응응)」
    • Cherry Bullet「Q&A」
  • 2月
    • ITZY「It'z Different」
    • LOONA「Butterfly」
    • (G)I-DLE「Senorita」
  • 3月
    • MAMAMOO「gogobebe(고고베베) 」
    • Everglow「봉봉쇼콜라 (Bon Bon Chocolat)」
    • MOMOLAND「I'm So Hot」
  • 4月
    • IZ*ONE「비올레타 (Violeta)」
    • BLACKPINK「Kill This Love」
    • TWICE「Fancy You」
  • 5月
    • EXID「Me&You」
    • CLC「Me(美)」
  • 6月
    • WJSN「Boogie Up」
    • 프로미스나인 (fromis_9)「FUN!」
    • TWICE「Breakthrough」/「HAPPY HAPPY」
    • Red Velvet「Zimzalabim」
    • (G)I-DLE「Uh-Oh」
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食の美学入門:作ること、食べること、感じること

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我々は、ときに美しく盛り付けられたフランス料理を見て「芸術的だ」と言う。

また、華麗な手さばきでピザ生地を広げたり、魚をさばくシェフの姿に、創意に満ちた芸術家の姿を重ね合わせる。

すぐれた料理の味や香りがもたらす感動や快楽は、映画や音楽のそれにも劣らない。

さて、食はアートと言えるのか食の美学は可能だろうか

 

今回は二部構成となっている。

前半には、アーロン・メスキンによる短い論考「食品の芸術」(2013)のレジュメを載せた。食品(料理)はアートとなりうるのか、なるとすれば、いかなる意味でアートと言えるのか、という問題をざっと概観したい。

後半は、これを踏まえ、食の美学が検討すべき問題群を整理する。食を取り巻くさまざまなトピックを紹介し、これらの美的な可能性を探っていきたい。

 

あらかじめ目的と意義を明らかにしておこう。なぜ、食の美学を問わなければならないのか

第一に、食文化とは人間存在にとって身近どころでない重要性を持ちつつ、哲学的にはあまり注目されてこなかった対象であるからだ。しかしそこは、衣食住の中心である。我々は、ただ必要に迫られて空腹や乾きを満たしているだけではない。食文化とはそれ以上のなにかであり、哲学的考察に値する対象なのだ。

第二に、食の美学についての考察は、翻って美学の諸理論に対する反省を促す。「芸術」「作者」「創造性」「作品の存在論」「作品の意味」「美的経験」といったトピックは、食文化の実践に合わせて再考される必要がある。

 

僕の専門は写真だが、思うに、食のありかたは写真のありかたと似ている。いずれも、我々にとって身近な実践であり、そこでは実用性と芸術性が拮抗している。写真が、芸術史における異物として諸美学の反省を促すようなものであるならば、同じような異物として、食もまた位置付けられるはずだ。

  • Aaron Meskin (2013) The Art of Food
    • 食品はアートなのか?
    • 食品はアートとなりうるのか?
    • 芸術性の帰属先について
    • 反論①食品ははかない(transience)のでアートじゃない?
    • 反論②食品には意味がない(lack of meaning)のでアートじゃない?
    • 過度な一般化には気をつけるべき
    • 芸術形式のハイブリッド
    • 食品の美学とは?
    • 結論:食品の芸術性
  • 食の美学:作ること、食べること、感じること
    • 1.作者性の問題
    • 2.前衛と規範性の問題
    • 3.レシピと料理の存在論
    • 4.道徳と倫理の問題
    • 5.料理の批評
    • 6.食べない料理の美学
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レジュメ|スコット・ウォールデン「透明性と二要因による写真鑑賞」(2016)

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Walden, Scott (2016). Transparency and Two-Factor Photographic Appreciation. British Journal of Aesthetics 56 (1):33-51.

 

久々の「画像表象とリアリズム」。春休みの間は写真と関係ない論文ばかり読んでいたのですが、ぼちぼち修論執筆マシーンにシフトしていきたいです。

今回は、ケンダル・ウォルトンによる写真の「透明性テーゼ」を整理し、それよりも倹約的な説として「デフレな理解(deflationary understanding)」を導入する論文。ウォルトン論文については以下。

さすがにウォルトン論文から30年も経っただけあって、議論がだいぶ整理されているのが分かる。デジタル写真の台頭も踏まえ、射程の広い理論を目指している点は、近年ロペス、コステロ、エイベルらが展開している「写真のニュー・セオリー」*1とも通ずるところがある。

 

要約はすでにツイートしていますので、先にスレッドを見ていただけると議論が追いやすいかと。本記事も飛ばし飛ばしでいきます。

  • 1.イントロダクション
  • 2.中核の主張を「必要条件」で解釈する
  • 3.中核の主張を「十分条件」で解釈する
  • 4.認識論的検討と「二要因」によるアプローチ
  • 5.「二要因」によるアプローチの応用
  • ✂ コメント&感想

*1:

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