Walden, Scott (2016). Transparency and Two-Factor Photographic Appreciation. British Journal of Aesthetics 56 (1):33-51.
久々の「画像表象とリアリズム」。春休みの間は写真と関係ない論文ばかり読んでいたのですが、ぼちぼち修論執筆マシーンにシフトしていきたいです。
今回は、ケンダル・ウォルトンによる写真の「透明性テーゼ」を整理し、それよりも倹約的な説として「デフレな理解(deflationary understanding)」を導入する論文。ウォルトン論文については以下。
さすがにウォルトン論文から30年も経っただけあって、議論がだいぶ整理されているのが分かる。デジタル写真の台頭も踏まえ、射程の広い理論を目指している点は、近年ロペス、コステロ、エイベルらが展開している「写真のニュー・セオリー」*1とも通ずるところがある。
要約はすでにツイートしていますので、先にスレッドを見ていただけると議論が追いやすいかと。本記事も飛ばし飛ばしでいきます。
写真の「透明性」と認識論的価値について、うまく整理された論文。フィルカル論文提出前に読んでおけば、「虚構的な透明性」のところでだいぶ役に立っただろうな。
— sen kiyohiro (@obakeweb) April 17, 2019
>>>S.Walden, "Transparency and Two-Factor Photographic Appreciation"https://t.co/nnCatmgY9g
- 1.イントロダクション
- 2.中核の主張を「必要条件」で解釈する
- 3.中核の主張を「十分条件」で解釈する
- 4.認識論的検討と「二要因」によるアプローチ
- 5.「二要因」によるアプローチの応用
- ✂ コメント&感想
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