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インターネットと美学研究

学術

「写真」の存在論的身分を巡って:Jiri Benovsky "What photographs are (and what they are not)"(2011)

普段やっている「画像表象とリアリズム」とはやや毛色の違う論文をご紹介。 名前の読みはイジー・ベノヴスキーですかね。2011年の論文、"What photographs are (and what they are not)"です。 今回読んできたのは、写真はいかなる存在論的カテゴリーに属す…

「画像表象とリアリズム」#3:Barbara E. Savedoff "Escaping Reality: Digital Imagery and the Resources of Photography"(1997)

デジタル写真に関する議論で、よく引かれているサヴドフ論文(1997)。 「デジタル画像編集技術の普及によって、写真一般の信憑性が下がっちゃうぞ!」というのが大筋。 とりわけ、芸術写真における写真表現にフォーカスしている。アンリ・カルティエ=ブレッ…

「画像表象とリアリズム」#2:Kendall Walton "Transparent Pictures: On the Nature of Photographic Realism"(1984)

写真論の研究ノート、第二弾。 今回は初心に返って、ケンダル・ウォルトンの「透明な画像」(1984)を読み直しました。 分析美学における写真論としては古典中の古典。論文としては2003年に山形大学の清塚邦彦さんが紹介されているが、翻訳はまだ出ていない。……

「画像表象とリアリズム」#1:Geert Gooskens "The Digital Challenge - Photographic Realism Revisited"(2011)

「画像表象とリアリズム」Episode 1です。 指導教官とのゼミで描写(depiction)関連の論文を読むようになったので、そのまとめノートをブログに綴っておこうかと。 主に、デジタル時代の画像文化に関するものが中心です。 今日、紹介するのはGeert Gooskensに…

写真、表象、美学

研究メモ的な雑記です。 写真とはなにか。(こういった傲慢な問いを堂々と立てられるので、哲学はいいなぁ。) 写真というメディアの登場が美術史、哲学史に与えたインパクトは大きく、古今東西おおくの論者が写真について書いている。 早い話、修論はちょっ…

分析時空論のスヽメ:四次元主義vs三次元主義

今回お勉強してきたのは時間と空間の哲学。 まさに形而上学の超王道。時間、空間、世界、その中で生きる我々とはどのような存在者なのか、考える。哲学勉強したてのころからずっと興味のあった分野です。 普段はこういうゴリゴリの形而上学ではなく分析美学…

音楽作品の存在論まとめ:レヴィンソンvsドッド

ヘッダー画像は5分で作った。 さて、本日の話題は音楽作品の存在論。「音楽作品って、どういう特徴を持っているの?」「音楽作品の身分って、なんぞや」みたいな疑問に答えていく分野。 芸術作品の存在論をやっている人たちは、だいたい音楽作品を主題に扱っ…

芸術作品の「最適」な解釈を求めて:ジェロルド・レヴィンソン「仮想意図主義」について

『分析美学基本論文集』、飛ばし飛ばしですが読み進めています。今回は第3章「作品の意味と解釈」からアメリカの哲学者Jerrold Levinsonによる「文学における意図と解釈」のメモです。出典は1996年の『The pleasures of aesthetics』に収録された論文「Inten…

ヴァーチャルな喜怒哀楽を生きる:ケンダル・ウォルトン「フィクションを怖がる」について

『分析美学基本論文集』からつまみ読み。ケンダル・ウォルトンによる1978年の論考「フィクションを怖がる(Fearing Fictions)」に関するメモと雑感です。ホラー映画に対して「怖かった」と言うけれども、それって本当に「恐怖」だと言えるのか?って話。①恐怖…

Book Review:ノエル・キャロル『批評について──芸術批評の哲学』

分析美学のフィールドで話題になっている新刊。(新刊といっても発売は去年の11月。読書ペースを上げねば……) 分析哲学の論文を思わせるクリアな議論から、「批評とはなにか」を考える。キャロルは一貫して「理由にもとづいた価値付け」こそが批評行為であると…